男女間の異なる取り扱い 女性活躍②

お茶くみ、そうじ等の雑務

長年、女性労働者への差別と言われてきたものの1つに「お茶くみ、そうじ等の雑務」があります。

しかし現在は男女雇用機会均等法(以下、均等法)関連の指針により、

「男性労働者には通常の業務のみに従事させるが、女性労働者について通常の業務に加え、会議の庶務、お茶くみ、そうじ当番等の雑務を行わせること

は、違法とされています。

これは、男女雇用機会均等法6条1号において「労働者の性別を理由として、差別的取り扱いをしてはならない」と定められてるからです。

女性のみに雑務等を行わせることは、配置における業務の配分にあたって、「男女で異なる取り扱いをすること」に該当します。
         業務の配分…特定の労働者に対し、ある部門、ラインなどを含めた
               複数の業務のうち一定の業務を割り当てることを言います

社宅の貸与の条件を「世帯主」とすること

家族手当の支給や社宅の貸与を「世帯主」とすることは、間接差別の代表的な例として争われてきました。
これは、指針の「福利厚生の措置の実施に当たっての条件を男女で異なるものにすこと」に該当する可能性があるからです。

しかし、均等法7条の間接差別には「世帯主」についての言及はされておらず、指針でも直接差別だけが規定されている状態です。

このような、住民票上の世帯主や、共働き夫婦の場合収入の多い方を世帯主として、社宅の貸与を認めることは、多くの女性労働者を事実上排除することになるとの見方もあります。

なお指針によると、直接差別にあたる例としては、
「世帯主が男性の場合には本人の申請のみで貸与するのに、女性の場合には住民票の提出を求めたり配偶者に一定以上の所得がないことを条件とする」
があります。

整理

1(お茶くみ、そうじ等の雑務)については、わかってはいるけれど昔からの慣習になってしまっており、抜け出せない会社も多いのではないでしょうか?

2(社宅の貸与の条件を「世帯主」とすること)は、物理的・金銭的な不利益だけではなく、こういった取り扱いがあることで女性の就業意欲、モチベーションが害されてしまうことが会社にとっても女性労働者にとっても大きな損失になるのではないでしょうか?

また、1と2の大きな違いは、1は「違法」、2は「違法じゃないけどよくない」といった位置づけにあります。

1はもちろん守らなければいけない、もしくは、守る努力が必要。誰もが思うでしょう。

では、2はどうでしょうか?
ただちに違法にはならないのだから、「間接差別的取り扱いはまだ残したままでいい」という会社もなかにはいるかもしれません。

これからの時代の経営

しかし「人的資本経営」「SDGs経営」「ESG経営」が進む時代、性別の区別だけではなく、あらゆる特性や価値観を持った人が活躍できる会社、そして社会を作るためには、一人ひとりがどういう考え方で対応すべきでしょうか。

私は、法違反かどうかという基準だけではなく「自社が持続可能な組織になるための取り扱い」を模索する必要があると思います。

今後人材を確保することはますます難しくなり、経営に影響が出てくることも十分あり得ます。

会社ごとにいろいろなスタンスや考え方があっていいと思います。しかし、そのスタンスや考え方が「持続可能な組織」につながるか、これは慎重に考えながら対応してみてはいかがでしょうか?

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