給与額格差のことを考えるようになったきっかけ
先日、ある勉強会で女性活躍をテーマにしたディスカッションに参加しました。
その時、社労士である私にほかの参加者の方から質問を頂きました。
「いろんな会社を見てきて、男女の間での差別区別ってどんなものがありますか?」
いろいろなワードが頭に思い浮かびましたが、私は・・・
「お給料です」
と答えました。
職業柄、給与計算を受託していないお客さまでも給与額は拝見します。
採用時には同じ基本給でも、役職・勤続年数等のいろいろな事情から、同じ会社でも「給与水準が高い人には男性が多い」と、私個人としては感じています。
データから見る実態
以下のデータをご覧ください。
今まで、女性は非正規が多いことや、短時間で働くことが多いことから賃金額が低いんだ、というご意見も多くあったと思うのですが、正社員同士でも男女間に差があることがわかります。
また、同じ職業・経験年数でも男女間で差があります。
たくさん理由はあるかと思いますが、その1つには「女性の管理職が少ないこと」が挙げられると思います。
では、なぜ女性は管理職にならない(なりたくない)のでしょうか?
1.女性は、結婚・出産・育児などに影響を受けやすく、両立が難しいと考える傾向にある
2.日本に昔から根付いている「仕事=男性」「家事=女性」という意識から、躊躇してしまう
3.仕事量や責任が増えることに不安を覚えている
4.女性管理職の前例が少なく、キャリアのイメージがわかない
などがあると思います。
「女性」ではなく、「働きたい女性」に着目すべき
女性に役職者が少ない理由の1つ目「女性は、結婚・出産・育児などに影響を受けやすく、両立が難しいと考える傾向にある」について、考察します。
これについて、
「女性が結婚出産育児に専念したいと思うのだから、無理に仕事をさせることない」
という意見が良く聞かれます。
バリバリ働くことに幸せを感じる女性ばかりではなく、仕事よりも家庭を大事にしたい女性がいることは尊重すべきですし、私も女性として家庭優先というのは素敵な価値観だと思います。
ですが、この問題で着目すべき主人公は「女性」という大きなくくりではなく、「もっと働きたい女性」「もっと仕事で活躍したい女性」「もっと働いて稼ぎたい女性」という、もう少し狭い範囲のワードです。
「女性の賃金が低い」のが問題なのではなく、「もっと働いて稼ぎたい女性の賃金が低い」のが問題なのです。
女性活躍を進めるには、男性も巻き込む
確かに女性は結婚・出産・育児などに影響を受けやすいです。
そのうえで、下記のような声も聞かれます。
●家庭も大事だけど、もう少し仕事の比重を上げて家庭と仕事のバランスを見直したいな
●もっとサポートがあれば、仕事ももう少しできるのにな
これらの声の原因は、以下のデータを見てもわかるように、家庭での役割が女性にばかりに偏っているからと言えでしょう。
でも、これっていくら「意識改革」のために知識だけ与えても効果はかなり薄いです、何も解決しません。
今年の労務分野の大きな法改正で、「男性育休」に関連するものがありました。
これは、男性に育児に参加してもらおう!という意図だけのものではありません。
「男女で家庭の役割を見直し、仕事をしたい女性が希望通り仕事をし活躍できるように」という意図も大きくあります。
(ほかにも少子化等の改善という意図など、まだまだあります。)
今、女性活躍を進めようと思ったら、女性だけに着目していてはだめなのです。
男性も巻き込みながら検討をし、進めていくことが大切です。
昨今の社会の大きな課題の1つとして、引き続き「女性活躍」についてお伝えしてまいります。
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