なぜキャリウーマンがロールモデルになりにくいのか?
ロールモデルとは、キャリアの形成上「こんな人になりたい!」と、行動や考え方などでお手本になる人を指します。
男女雇用機会均等法がまだ努力義務だった1985年~1999年ころは、子育てをしながら管理職を担うというスタイルはほとんどないに等しい時代でした。
そんな時代にフルタイム、深夜残業、休日出勤などをし、私生活よりも仕事を優先して頑張り続けてきた女性が、現在管理職を担っているケースが多くあります。
決してこういった働き方をしてきた女性を否定するわけではありませんが、若手人材から見ると、「自分を犠牲にしてきた」とも見られかねない働き方をしてきたわけです。
深刻な少子高齢化が進行してきたために、働き方改革が推進され、子どもを産み育てやすい環境を作っていこうという施策が、現代の日本の国策である、と言っても過言ではありません。
そんな時代に社会人になった若手人材が、ワークライフバランスを重んじる傾向が強いことは容易に想像できるでしょう。
能力が高く優秀な管理職の女性を、ワークライフバランスを重んじる若手人材が見たときに、その人が長時間労働や休日出勤は当たり前、私生活よりも過度に仕事を優先しているといった姿でった場合、「こんな人になりたい!」と素直に思えるでしょうか?
よく、「今の若手は昇進意欲がない」「女性は昇進したがらない」といわれますが、各会社の風土として「管理職になれるのは長時間労働ができ、従来の男性的な働き方やリーダーシップをとれる人だけ」ということでは、若手人材や女性がそう思うのも無理はありません。
意図して変わらなければいけない時代
世の中では、今はVUCAの時代と言われています。何が起こるかわからない予測不可能な時代です。
私は、「VUCAの時代=意図しないでどんどん変わってしまう時代」というとらえ方をしていますが、それと同時に現代の日本は、「意図して変わらなければいけない時代」にもなっていると考えています。
考え方も、行動も、働き方も、家庭生活も、プライベートも、すべてにおいて新しい価値観ややり方を受け入れる必要があります。
そう考えると現代は何ごとも変わり目のタイミング。
従来活躍してきた人が、そのまま完璧なお手本になる可能性は低いはずです。
つまり、あなたの身近に完全なロールモデルと言える人がいる可能性はかなり低いかもしれません。
ロールモデルの設定の仕方
では、若手人材はどうロールモデルを設定したらいいのでしょうか?
もし、自分の理想の働き方をしている上司、先輩、同僚がいたらその人をロールモデルにすればいいのですが、ここまでお示ししたように、なかなか自分の理想に完全に合致するロールモデルがいるとは限りません。
そんなときは、ぜひテーマ別に「いいととこどり」をしてみてください。
★キャリア形成の考え方はAさんが理想だな!
★プライベートと仕事のバランス感覚はBさんのスタイルがいいな!
★Cさんの皆を温かく見守るようなリーダーシップを見習いたいな!
といった具合です。
また、ロールモデルは自社の社員でなくてもかまいません。
自社の社員のときと同様、「いいとこどり」をすればいいのですから、仕事上や何かのコミュニティーで知り合った他社の社員の「いいところ」を重ねていけばいいのです。
そうしていくうちに、自分のキャリアの理想やあり方がだんだんと見えてくるはずです。
ロールモデル設定のメリット(個人・企業)
ロールモデルを設定すると、自分に足りないものが見えて何を得ればいいのかがわかってきます。
よってキャリプランが立てやすくなりますし、いい意味でロールモデルの真似をして、考え方やスキルを習得することにつなげていけます。
また企業としては、活躍できる人を多く輩出でき、その結果、離職率が低くなるといった効果も期待できます。さらに、ロールモデルを設定していた若手が成長し、その人自身がロールモデルになれる人材に成長できれば、さらに次の世代の活躍にもつながっていきます。
まずは、自社に若手人材のロールモデルとなれる人材がいるか?考えてみてください。
いれば若手人材との接点をぜひ増やしてあげてください。
しかし、もしロールモデルとなれる人材がいなければ、自社の働き方や管理職登用の仕方に問題はないか?
自社に昔ながらの考えや風土がはびこっていないか?
今の時代に活躍できる職場環境があるか?
いまいちど見直してみてはいかがでしょうか?
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